日本の住宅性能は先進国の中でもかなり低いという事実をご存じでしょうか。海外の都市では、冬季における最低室温を設定する規則が存在します。
ニューヨークでは13℃、ドイツでは室温19℃以下は基本的人権を損なうと規定されていますが、日本にその基準はありません。
同様に住宅のUA値(外気に触れる住宅の壁や屋根、窓等の開口部から室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいかを数値化したもの)も基準値がありますが、日本に比べて海外はとても高い基準が設定されています。これはなぜでしょうか?
ひとつには、室内温度が人の健康に大きく影響を与えるという研究結果への姿勢への違いでしょう。
世界保健機構(WHO)が2018年11月に発表した「住宅と健康に関するガイドライン」によれば、居住空間の温度は18℃を下回らないことが推奨されており、この温度を維持できない場合、健康リスクが高まるとされています。
日本の住宅はこの基準を満たしていないものがほとんどです。
2014年〜2018年度、断熱改修前の住宅を調査したデータ※1によると、冬場における居間の在宅中平均室温は16.7℃であり、18℃を満たさない住宅が全体の6割を占めていました。
また寝室の就寝中、平均室温12.6℃、脱衣所の在宅中平均室温12.8℃であり、いずれも18℃未満の住宅が9割を占めているという状況です。
日本の住宅の断熱性能の低さは深刻です。
寒い家が体に良くないのは、想像にかたくありません。
寒暖差によるヒートショックが原因の事故もニュースなどでよく取り上げられています。
イングランド公衆衛生庁によると18℃未満で、血圧上昇・循環器疾患の恐れ、16℃未満で呼吸器系疾患に対する抵抗力の低下※2が報告されています。
高性能でありながら、誰もが手に届く価格の住宅をつくる。
断熱性能を高め、省エネ設計に取り組みランニングコスト(光熱費)を抑え、更に健康リスクを下げられることによる医療・介護費用の削減のバランスをも考えた新高性能住宅。
もはや既に世界に遅れをとっている国の住宅性能基準を満たすだけでは、未来の自分や家族は守れません。
30年、50年と長い視野にたって、健康的にも経済的にもメリットになる高性能な住宅の実現が必要なのです。