TOPICS暮らしにまつわる三建の取り組み

TOPICS 暮らしにまつわる三建の取り組み

date_range2024.7.27

2050 STANDARD HOUSE PROJECT ~SANKENの取り組み~

三建の事例発表
「住宅の性能にこだわった商品開発の未来」
株式会社三建
取締役副社長 中澤 博明 様
ファシリテーター 株式会社LOCAS ブランドプロデューサー 小松 昭氏
(小松)2050 Standard House Project(以下2050SHP)第5回目は、住宅の性能に力を注いでこられた三建さんの事例紹介をご説明いただきます。
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三建の企業紹介
創業以来45年間、兵庫県加古川、姫路、明石、神戸に密着し住宅事業を展開。2019年に名古屋事業所をオープン。住宅の性能に力を注ぎ、リブランディング後は2050 STANDARD HOUSEをミッションに掲げ、更なる進化を目指している。
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去年2023年にリブランディングを行い、今年2024年1月からSANKEN ARCHTECTSとして、青とゴールドをブランドカラーとしデザインさせていただきました。
本日は、取締役副社長の中澤さんにもお越しいただいております。
中澤さん、早速ですが自己紹介をお願いいたします。

外商、大手ハウスメーカーの経験から培われた営業の視点
(中澤)
はい、本日はありがとうございます。早速ですが、私の異色の経歴を簡単にご説明させていただきます。大学卒業後、大手の百貨店に就職し「外商」という仕事を9年間経験しました。

外商のお客様というのが、大体1担当、500-600件ほどいらっしゃいます。地域は限定されますが、私は神戸市東灘区中心の担当でした。その後、阪神淡路大震災があり、建築ラッシュが終わったあたりで、大手ハウスメーカー(住友林業)に転職いたしました。
(小松)
住友林業さんではトップセールスマンとして11年間で160棟。そのあと三建さんに入社されました。中澤さんは住宅の性能に相当なこだわりを持ってらっしゃいますよね。そのこだわりはどこで培われたものでしょうか。
(中澤)住友林業の頃でしょうか。「家を売るのに、どういう風にお客様に訴求すると売りやすいのか」について、一営業マンとして1番に考えていました。大手のハウスメーカーの場合、決まったものを納入するという方法が多いですけど、会社を選んでいただきつつ、担当者としての差別化を図りながら、信頼して頂き販売していく。そのため方法の一つが、「性能」でした。三建には6年半前に入社し、昨年よりリブランディングに関わっています。


2050STANDARD HOUSEというミッションを掲げて
(小松)それまでは「WITH YOU MADEあなたと創る家」がブランドスローガンでしたが、リブランディング後は、まさにこのプロジェクト名でもある「2050 STANDARD HOUSE」というミッションを掲げました。これはまさに我々が考えている、目指すところと同じです。社内みんなで作っていった方向性だと思いますが、事業責任者としてこのメッセージに込めた思いというのをぜひ教えてください。

(中澤)
営業しながら感じていたことは、今この家を建てようとしているお客様が30年、40年、50年と住み続けていく中で、10年、20年経って古い家 (過去の家)になってしまう事に非常に疑問を感じていました。ということは、20年30年40年を先取りしながら家を建てていかないと意味がない。この「2050 STANDARD HOUSE」というのは、私たちにぴったりのミッションだと感じています。
(小松)今、2024年ですけれども、そもそも木造住宅の耐用年数は約22年です。今年2014年で22年を足せば、46年です。つまり2050年だから、その時に性能も含めて、古くて使えないのではなく、しっかりその時代でも使える素晴らしい家。これを今から作るということですね。このメッセージを、会社のミッションにというところが、今回リブランディングの肝だったと思います。

2050STANDARD HOUSEに向けた取り組み
さて、次に三建さんの「住宅の性能」に関して共有できればと思います。2050STANDARD HOUSEに向けた取り組みということで、その想いとしてはお客様の生命と健康を守る家を提供するということです。
守るという点では、 「断熱、耐震」 「この先30年たっても陳腐化しない家を今からつくること」です。断熱性能、耐震性はどんなところまで取り組みをしているか、お話をお願いいたします。
断熱性能について(G3のモデルハウスを実現)
(中澤)
・2000年に 「ネオマフォーム」という断熱材が、旭化成建材さんから発売されました。1999年からの構想はありましたが、2000年当時からネオマフォームを使った外断熱住宅というのを他社に先駆けて既に販売を開始しました。
当時から、ネオマフォームを使用した外断熱というのは、1棟販売しておりまして、現在に至っても、標準仕様となっています。4年前にG3を商品化し、モデルハウス3棟を建築しました。「フォレス・ゼロ・プラス」と名付けまして、姫路に2カ所、加古川の隣の稲美町に1カ所。合計3ヶ所で単独展示しています。
(小松)
このモデルハウス2棟を実際に見学しました。デザイン性もあって、すごいなと思いました。G2レベルは基本的に標準ですね。そしてもう一つ、2050STANDARD HOUSEとして、「断熱」に加えて「耐震」についても、かなり力を入れて取り組んでおられています。
耐震性能について(複数回の地震を想定する)
(中澤)
断熱性能も、お客様の健康を守る意味では非常に重要な要素だと思っているのですが、ここ最近、繰り返し大きな地震が各地で起こっています。その繰り返し起こる大きな地震を何回受けても耐え得るような、耐震性能というのは特に大事だと思っています。
2050年まで26年間ありますが、この間に何回、大きな地震に見舞われるかわからないですけれども、見舞われた後も安心してお住まいいただけるように、何回繰り返し起こっても大丈夫なようにと取り組んでいます。
(小松)
基本的に耐震等級って「1発の地震でどうか?」がベースですよね。だから、複数回地震が起こると基本的には想定していない。結果で統計的にこんな感じだよねっていう今までの地震を分析してデータが出ていますけれども、国交省が定めた建築基準法上では、これはあくまで1発の地震の指標です。御社としては何回も起こることを想定されているということですよね。
この1回の地震だけじゃなくて、この後10年後に起こるかもしれない地震に対しても同じような耐震性を発揮していく、そういう理解でよろしいでしょうか。
(中澤)
そうですね、今年から構造用の真壁パネルを搭載するようになりまして、構造用真壁パネルを搭載するとほぼ地震が起こった後、変形しないとのことで、どちらかというと「ラーメン工法に近い工法」と理解していますけど、それで繰り返しの地震に対しても、お客様に丁寧に対応していきたいなと考えています。


営業の説明力について(エナジーベネフィットとノンエナジーベネフィット等)
(小松)
ありがとうございます。2050年に向けた想いはよくわかる、でも性能を高めると価格が高くなってしまう。これが僕らの中で永久にあるジレンマだと思います。
いいものを作っていけば価格が高くなる、お客様のいろんなものは守りたいけれども、そこはトレードオフかと思います。
実際、三建さんの営業の皆様は、どういう風にお客様と話されますか?また営業にどういう指導のされ方をしているのか、是非教えていただければと思います。
(中澤)
各社様されていると思うのですが、やっぱり光熱費メリットと、太陽光発電はほぼ100%全部搭載していくという形で販売しています。性能によるメリット、あと太陽光発電によるメリット。それに加えて健康的なメリットをご説明するようにしています。健康的なメリットを経済的メリットに変換して、価格に落とし込み訴求していくという両面を行っています。
(小松)
伊香賀先生や岩前先生が提唱されているエナジーベネフィットともう一つのノンエナジーベネフィットを、今後、しっかりと社内で共有してそこの話をしっかり指導されているということですね。
(中澤)
光熱費メリットの方はまだ分かりやすいですけど、健康的なメリットの部分は、例えば日本人の寿命が延びましたという報道がされますが、寿命が延びたことと健康寿命が延びたというのはまた別の話で、寿命と健康寿命の差というのは、男女ともに8歳から10歳くらいの差があります。その健康寿命の差に加えて、介護が必要になる年数もございます。介護が必要となった場合、大体1年で平均80万ぐらい費用がかかります。平均で4年ぐらい介護されるということなので、経済的メリットに換算すると、80万円×4年で、320万円。そういう健康的なお家に住むことによって経済的に差がでます。あと通院の費用などもデータとしてはある程度出てきています。それも金額に換算してメリットとして訴求していきます。


時代に先駆けた住宅の性能を実現していくために
(小松)
ありがとうございます。さて今後ですが、「G4を定義する」。G3を超えていくところの商品化、モデルを作っていくという、いわゆる自動車会社におけるコンセプトカーや、住宅メーカーならコンセプトハウスを作っていくということですね。
(中澤)この地元でこういう家づくりの仕事をさせてもらう責任としていわゆるリーダーとして、「性能」に関しては先頭に立っていくことによって地域の方に認めてもらえるのかなと思っていますので、そういう意味でいち早く取り組んでいきたいなと考えています。
(小松)
事前打ち合わせでお話を伺いましたが、ネオマファーム外断熱の住宅の採用。これは全国でも最も早いのではないかと思います。またSE工法も日本で初めて取り入れたのが、三建さんとお聞きしております。
(中澤)ラーメン工法といった耐震の部分でも、一番に取り組み始めたと思います。
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(小松)
G3のモデルハウスが3つあるとのことですが、なかなかG3まで性能を高めたモデルハウスを訴求しても、G3が建つケースというのはそんなにないかと思いますが。
(中澤)
実際のところは、まだあまり世間が追いついてない。あまり出ていません。
(小松)
こういった(性能の)ところを訴求しながら、おうちの使い方だとか、暮らし方について
お客様とお話しし、実際に売っていくのはG2クラスといったところでしょうか。
(中澤)
そうですね。具体的に、標準仕様で建てるとG2は0.46以下ですが、0.26~0.46の間で、お客様がどのレベルまで持っていきたいかというのは、打ち合わせの上で決めていくのは実情です。
(小松)
確かにG3までいき、それでパッシブ設計までしていると、冬場暑くて窓を開けるといったケースがでてくるかもしれません。その辺り、使い方も含めてお客様としっかり話していく。フロントスタッフの方の知識ですとか、お客様にしっかりと伝える力、このようなものがないと、しっかりとした性能を持っていても戦えない。そこを伝えることができれば、最終的にお客さまが一番のメリットだと思います。またデザインと性能の両方を両立するというのが一つのキーポイントかなと思います。


説明できる営業資料について
(小松)2030を見据えたこれからの家づくりというところで、理系的な教科書のような資料を使われていますが、ロープレをしっかりされている感じでしょうか。
(中澤)G3の商品を発売する前に、営業ミーティングのたびに行っていました。
(小松)
健康な住宅で暮らすことは、長生きだけでなく健康で生きたいですよね。介護もできるだけ必要なく、自分の子どもたちや、孫だけでなく誰にも迷惑をかけずに生きていたいのは人間の願いです。こういったところをしっかり一つずつ、お客さんに資料でお話をされている。ちゃんと勉強しないとついていけないと思いますが、ロープレみたいなものは多くなさっていますか?
(中澤)
一応、月に2回営業ミーティングしているのですが、月2回ロープレをやって、みんなで知識を共有しています。
(小松)
特に最後のコピー、「建物に資金を投じますか。」それとも、 「光熱費や医療費に投じますか?」これは結構パワーワードだと思います。
ここまでの話を進めるためには、お客様との信頼関係や、プロフェッショナル性みたいなものを、お客様にわかってもらわないと厳しいかなと思います。
大きい商圏とはいえ、G3のモデルハウスを3棟建て、そこで証明しているというところがすごいと思います。
(中澤)
建築の性能アップによってコスト差額よりも経済的メリットが大きいということを理解してもらえると、お客様は買ってくれるのではないでしょうか。
(小松)
1,500万円かプラス300万円かどちらをとりますかという形ですね。この300万円というのは、フラット35などであれば35年間で払えばいい。月々にしてみれば数千円になってくるわけですから、ここの部分って、この話し方やこういった形で文字にしているものははじめてみました。三建さん、かなりすごいです。
この資料は、このプロジェクトに参画されている皆さんの自社のコミュニケーションで参考になるのではないかと思います。


真壁パネル(構造面材)について
(中澤)
この構想自体もう8ヶ月~10ヶ月前くらいから取り組んでいますが、この4月から一部採用を始めて、着工し、今後はこれをメインに出していきます。これは工場で生産された真壁パネルを柱間に全壁はめ込む形です。これ自体が構造面材、工場でつくっているんです。
(小松)
なるほど!このパネル自体が構造面材ですね。
(中澤)
はい、これ自体、全壁ではめ込みますので、どう見てみたって強いんです。
(中澤)
また、コストは導入することで、いろいろ減額になる面もあるので、弊社の原価で行って10万くらいプラスです。減額になる面とは例えば、大工手間賃や羽柄材が不要になったり等施工自体の負担軽減、パネル自体もセットされており、このパネル自体は80万円~100万円はかかるんですけれども、差し引きでだいぶ変わってきます。また制震パネルの役割にもなり変形しません。そもそも変形しないので、制震パネルも必要ない。


(小松)
さて、次はですね、繰り返す揺れを想定した振動実験と、そこの部分でも剛性というものが、他の筋違い、面材と比べても、ずっと維持できる。耐震等級3がずっと続いていくということ。そういう考え方は大事ですよね。
(中澤)
非常にわかりやすい図になりますが、ウォールスタットによる耐震性能の比較実験で、全て耐震等級3で想定された建築物です。
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(中澤)
壁量計算による耐震等級3ですけれども、筋違いの建物は倒壊します。面材大壁板張り場合は、倒壊はしないですけども、かなりダメージを受ける。一目瞭然に比べてもらうと、この真壁パネルが強いのが分かります。
(小松)
この図は、1回目に影響がでている図ですね。(できれば繰り返しの揺れをみせたいので)これは5回目くらいで、影響が出る図がいいですね!
逆にいうと、これ壁量計算、耐震等級3相当で、1発で倒れちゃう、傾いちゃう訳ですよね。まずいですよね。これは非常に怖い。それに対して、真壁パネルは大丈夫だよということがわかります。
(中澤)
弊社の場合は、この真壁パネルを採用する前は、図でいう真ん中の「面材大壁張り」だったのですが、大壁張りは手でパンパンパンととめていきますが、釘とかビスのめり込みとか、何ミリ打ち込んだら、何割くらい強度が落ちるとか、人の手による差が昔から弱点とされていました。そういった心配を全て払拭してくれるパネルだと考えています。工場生産品ですのでかなり均一にできあがってくる。
この前1棟目、上棟した時に、このパネルをはめ込んだんですけど、かなり精度が高くて、もうぴったり全部はまっていくんですね。すごいなあと。
(小松)
そうですか。工場でつくると、ちょっと気密性とか後での問題がでてくるんではないかと心配してしまうのですが。
(中澤)
気密性はですね。実は今まで以上に気密性C値については高くなっています。
(小松)
なるほど。やっぱりここを採用されたのは、くりかえしの地震に対する耐震等級3以上、北州さんだと「サスティナブル耐震」という言葉を使っています。(実は北州さん「サスティナブル耐震」で商標をとられます。)断熱・気密性能を長く機能していく。差別化したプロモーションを行っていけますね。
(小松)
2050SHPですけれども、断熱等だけでなく、日本は地震大国です。地震が来ない県なんて、どこにもない。先進的な技術はここに取り組んでいることが特徴だと考えています。
以上となります。今月もご参加いただきありがとうございました。

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